1.2. BCP が求められる背景

(1)事業活動の変化

企業は、現在、効率化を追求し徹底的なコスト削減を行うため、生産拠点や物流拠点、取引先等を集約せざるを得ない状況に追い込まれている。このことは一方で、その拠点や取引先に障害が発生した場合、代替拠点や取引先の手配を困難にし、基幹事業の停止に直結する確率が格段に増加していることを意味する。

自動車部品メーカーの部品供給が停止したために自動車メーカーの操業が停止してしまったなどという事象は記憶に新しいところである。

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<BCP とSCM(サプライチェーンマネジメント)>

SCM は、サプライチェーンを構成する企業全体で経営効率を追求する経営管理手法である。「在庫や仕掛品の削減」、「生産や供給のリードタイムの削減」などの実現につながるものと考えられている。

一方で、SCM の導入は、サプライチェーンを構成する一企業にボトルネックがあれば、構成企業全体に影響を与える可能性を有する。つまり、サプライチェーンを構成する一企業の事業中断が、他の企業の事業中断へと波及することになる。
それゆえに自企業だけでBCP を構築するのではなく、サプライチェーンを構成する全企業でBCP を構築する必要があり、こうした考え方の浸透する欧米のグローバル企業から、サプライチェーンを構築する企業に対してBCP の策定や適用を求められるケースも見られる。
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(2)情報システムへの依存増大

重要インフラである金融サービスや通信サービスを提供する企業はもちろん、在庫管理や受発注管理、顧客管理等、ほとんどすべての企業において、事業は情報システムやネットワークの稼動を前提に構築されている。情報システムに障害が発生した、あるいはネットワークが中断した場合に、BCP の準備がない企業は、工場を稼動させることも、顧客にサービスを提供することも不可能な状況に追い込まれる可能性がある。

2002 年夏にKPMG ビジネスアシュアランスによって実施されたビジネス継続マネジメントサーベイにおいても
「ビジネスの中断の原因というと真っ先に地震などの自然災害が思い浮かぶかもしれないが、実際には情報システムの障害によるケースが非常に目立つ」
と報告されている。過去1年間に経験した事業中断の原因として,最も多かったのは「機器故障」で46%,次いで「ソフトウェア障害」が34%だった。「ウイルス感染や不正アクセス行為」の18%という数字が注目される。

ただし、上記統計は過去一定期間の業務中断をもとにしているのであって、地震がもたらす事業継続への影響が小さいことを意味するのではない。地震国である日本においては、地震リスクの大きさを盛り込んだBCP を構築する必要がある。

また、世界の企業にとってもBCP 上のIT の重要性については大きく認識されている。BCI が2004 年に世界企業を対象にした調査結果によると、企業のBCP 責任者が、BCM 上事業の混乱に関して最も留意している事項は、「テレコミュニケーションの喪失(62%)」、「IT 能力の喪失(60%)」、「火災(53%)」、「事業拠点の喪失(51%)」となっている
posted by MAXAVA at 20:00 |     −1.基本的考え方 | 更新情報をチェックする
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